感染症予防対策
◎感染症対策の基本
○「持ち込まない」「広げない」「持ち出さない」が基本。
※よって職員はもちろん、利用者様の御家族、面会者、立ち入る業者様、ボランティア等の訪問の方々の御協力が必要不可欠です。
○正しい手洗い
○マスク・うがい・咳エチケット
※レスピラトリーエチケット
・発熱、上気道感染症状のある人は自らマスク着用。
・せき、くしゃみをする際はティッシュペーパーやハンカチで鼻と口を覆う。
・せき、くしゃみをする際に手で覆った場合は手を洗う。
◎新型インフルエンザ対策
○本法人事業所での対応
・出勤退勤時は玄関の外で強酸性水による手洗いとマイペットボトル(各自持参)で数回うがいを行う。
・業務中は日課毎の節目で強酸性水による手洗いとうがいを行う。
・備蓄マスクの使用は理事長の指示に従って行う。また、使用済マスクは玄関外の専用容器内ビニール袋に捨てること。
・手指消毒剤(エタノール)は来所者用専用とする。
・風邪症状がある場合は職場に通報するとともに、出勤せず医療機関を受診する。
・家族に感染者が出た場合や感染者との濃厚接触者の場合は5日間程度出勤停止とする。
・利用者や職員の通院の際には、他の患者と2m以上離れる。
・利用者に感染者が出た場合は利用を控えていただく(十分な情報確認)。
・GH入居者、特養入所者に感染者が出た場合は完全隔離しガウンテクニックを行う。
・妊婦や前記基礎疾患のある者は、特に十分な予防に努めるとともに、予防ワクチン接種が開始された際は早めに受ける。
○詳細な注意事項
・マスク着用による過信は禁物であり、又、適切な着用をする。
(素材:ガーゼ等の織布は不可、3層又は超立体構造の不織布素材とする)
(着用方法:3層マスクの場合は鼻上から顎下まで覆い、隙間を作らない)
(着脱方法:耳紐部分以外は触れない) (処理方法:使い捨てを原則とする)
・手洗いは適切な方法で行う。
(石鹸流水手洗いや強酸性水で行う。エタノールや塩化ベンザルコニウム<オスバンなど>は手荒れを起こす)
・予備の消毒用エタノールは冷暗所に保管しておくこと。
(日光や明るい場所では揮発したり消毒効果が薄れる)
・うがいは適切に行う。
(水道水で最初は口に含みグジュグジュ、次にできるだけ喉を上げて3~4回のうがい。特にイソジンうがい薬で行う必要はない)
○外出行事、屋内行事の自粛
・スーパーへの買い物など屋内の人混みへの外出行事の自粛。
・屋内での集団的な行事の自粛。
○外来者への対応
・玄関に「感染予防対策実施中」と掲示し、予防意識を高める。
・かぜ症状(特に発熱)の有無や濃厚接触者(家族、友人、同僚などが感染者となった場合の接触者)であるかどうかを聴き取り、感染リスクが疑われる場合は入館を自粛いただく。
・集団外来者の受け入れを自粛していただく(園児、生徒、学生など概ね5人程度以上)。
・外来者の入館時の手洗い、できればうがいもしていただく。
○感染が疑われた場合の対応
・38℃以上の発熱と咳や咽頭痛等の急性呼吸器症状が伴う場合は感染を疑い、医療機関に受診する。受診にあたり、事前に電話してから受診する。
・受診の際は必ずマスクを着用する。
・治療薬はタミフルとリレンザであるが、鎮痛薬のボルタレン系は脳症の予後を悪化させることがあるので禁忌。
・家庭内で感染者が出た場合は、専用室で療養に努め、看護者は必要なガウンテクニックを活用して新たな感染を防ぐこと。
◎ノロウイルス感染症胃腸炎
○ノロウイルスとは?
電子顕微鏡でしか見えないごく小さな球形ウイルスです。以前から存在していたが、その性質が明らかになったのは近年であり、平成9年より新たに食中毒の原因物質に加えられた。
○感染経路
食品内で増殖せずに人の腸内で増殖します。人の糞便などに含まれたウイルスが川や海に流れ出し、牡蠣などの2枚貝の中に蓄積し、それらの食品を生食あるいは加熱しないで食べた場合に感染する。また、感染者・患者の便や吐物の中には大量のウイルスが含まれ、ごく少量(10個程度でも)のウイルスで感染するため、ウイルスに汚染された人の手や水などを介して、又は飛沫感染する(乾燥・飛散し、空気感染することもある)。水、氷、果物、刺身、サラダなどの非加熱食品での感染や、人から人への感染もある。
○主症状
急性の胃腸炎で、ウイルスを取り込んでから~2日後に激しい吐き気や嘔吐、腹痛、下痢(水様便)、発熱を生じるが、他に頭痛、上気道炎など、風邪に似た症状が主な場合がある。後遺症はなく、ひどい下痢が続いた場合は脱水症状になり、入院・点滴などの処置が必要となる(子供→嘔吐、大人→下痢が多い)。これらの症状は1~3日でおさまるが、便には2週間(最大1ヶ月)ほどウイルスが含まれているので、感染者は手洗いや入浴の際に十分な洗浄が必要である。
○予防
十分に加熱(85℃以上で90秒以上)すれば滅菌することができる。また、汚染された水や調理器具を介して、また感染者を介してうつるので、手洗いやうがい、調理器具の洗浄などに日ごろから気をつけることが大切である。
○二次感染予防
まな板、包丁、ザル、菜箸などの調理器具、また、調理する人の手を介して食中毒の病原菌が食品などを汚染する可能性がある。このような汚染を二次感染という。少しのウイルス数で感染するノロウイルスの蔓延を防ぐため、汚染されている可能性の高い食品を扱った際は気をつける(感染者の糞便、吐物に大量にウイルスが含まれている)。施設では糞便などの取り扱いが多い上に入所者の体力が落ちている為、感染が広がり易く、また重症化しやすいので特に注意が必要である。
・手洗い、うがいの励行。
・食品担当者は特に注意。
・患者、感染者の衛生管理の徹底。
・糞便、吐物の処理の使い捨て。
○日常的な注意
・牡蠣などの生食の際は、必ず生食用に限る。
・調理前、食事の前やトイレの後などには十分な手洗いを励行する。
・冬季の風邪症状は、ノロウイルスによる場合が多いので、下痢や風邪症状のあるときは、用便後や調理前、食前には入念に手洗い、うがいを励行する。
・加熱する際は中心温度85℃以上で90秒以上加熱する。
・牡蠣などの調理の際は水などがはねて他の調理器具が汚染されないよう配慮し、調理器具は使用後は洗浄、殺菌(熱湯で煮沸する)か、塩素系漂白剤による殺菌を行う。
・生鮮食品は十分に洗浄する。
○効果的な手洗い方法
・手洗い方法マニュアルに沿ってむらなく洗浄する。
・常に爪を短く切っておく。
・手洗いの際は指輪などすべて外す。
・石鹸を十分に泡立ててから洗浄する。
・手指ブラシを使用して洗浄する。
・すすぎは流水え十分に行う。
※石鹸自体にはノロウイルスを殺す効果は無いが、手の脂肪などの汚れを落とすことでウイルスを取り除く効果がある(界面活性作用でウイルスが滑り落ちる)。
○施設・事業所における注意事項
・冬季間において職員本人及びその家族において、ノロウイルス感染者又は感染が疑われる場合には、上司へ報告し、勤務の可否の判断を仰ぐこと。
・欠勤等の連絡の際は「体調不良」などではなく、ある程度の症状又は病状を知らせること。
・ノロウイルス感染者が回復し、職場復帰する場合は園長と相談の上行うこと。
・本人がノロウイルス感染者又は感染が疑われる場合、十分な手洗い、うがいなどのほか極力マスクを使用すること(特にトイレ後)。
・ノロウイルスの殺菌、除菌は、市販の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム:ハイターなど)が有効(消毒用アルコール、その他の消毒薬では効果は無い)。
・市販の塩素剤の多くは、濃度が約5%なので、希釈の目安として500mlのペットボトル1本にそのキャップ0.5~2杯(200~1000ppm)の塩素剤を入れて作る。
・強酸性水(ペーハー2.3以下)は、ノロウイルスに対して、的確な使用で塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)より除菌効果があり、刺激臭や手荒れなどもない。但し、ペーハーが変化するので次のように使用する。
・汚染物に直接かけるか、むらなく噴霧する。
・バスタオル等に浸して靴底を踏んでも効果は無いので、直接靴底にむらなく噴霧する。
・布巾や雑巾に染み込ませて拭いてもすぐ効果は落ちる為、直接むらなく噴霧する。
・鉄部は錆びるので注意する。
◎インフルエンザ
○インフルエンザとは?
インフルエンザは そのウイルスにより引き起こされ、風邪症状の中で最も強い全身症状と呼吸器症状を呈し、ほとんど毎年その流行が繰り返され、高齢者や乳幼児の場合には死に至ることがある。
○特徴
38~39℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強く、併せて、喉の痛み、鼻汁などの症状も見られる。高齢者が罹患すると細菌性肺炎を併発しやすく、呼吸器疾患や心疾患、腎不全などの基礎疾患がある場合には急性憎悪を引き起こしやすくなる。最近では乳幼児のインフルエンザ脳症の発生も問題となっている。
○感染力
感染力は非常に強く、一旦流行が始まると短期間で広がり、爆発的に患者が増加する。
○感染後の対応
突然の高熱、悪寒などインフルエンザの症状が見られた場合には、単なる風邪だと軽く考えず、早めに医療機関に受診し、迅速診断キット等により確定診断する必要がある。
○予防
非常に感染力が強い為、施設、事業所内にウイルスを持ち込まないことが最も重要な対策の一つである。
○入所者・利用者の健康管理
健康状態を定期的にチェックし、感染症の把握を行うこと。特に呼吸疾患、心疾患、糖尿病、腎不全等の慢性疾患を有する人がインフルエンザに罹患した場合に合併症を併発しやすく、日頃から基礎疾患等の把握を十分にしておくこと。また、外泊から戻った方から感染が拡大した例もあるので、戻った際には健康状態のチェックを行うことが重要である。
○入所者・利用者へのワクチン接種
蔓延防止の為、積極的にインフルエンザワクチン予防接種を行う。通常1~2月頃が流行期なので、12月中旬までに接種することが効果的である。なお、65歳以上の高齢者等については、予防接種法により定期接種の対象とされ、一部公費負担により受けられる。
○面会者・ボランティア(外来者)への対応
外来者によってインフルエンザウイルスが持ち込まれるのを防ぐことが重要である。流行期は玄関に必要な情報を提示し、家族等に予め説明を行なうなど外来者に対して理解を求める。
○職員の健康管理
インフルエンザの症状が出た場合、学校保健安全法に則り出勤を控えるほか、極力予防接種を行い、家庭内及び職場内の蔓延による機能麻痺を防止。
○施設内で発生した場合
・早めの受診
・別室に移す(隔離)
・集団活動(食堂喫食)の一時停止
・職員の手洗いの徹底、マスクの使用
・消毒用エタノールでの手指、器具等の消毒
・職員の報告・申出制度
・職員の休養措置(学校では解熱後2日)
・集団発生の場合は保健所等へ連絡
・標準予防策(スタンダードプリコーション)の周知徹底